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2013年12月15日日曜日

北朝鮮危機

金正恩 Kim Jong-un は凄い。No.2を粛正したと思ったら、さっさと殺してしまった。北朝鮮は文字通りの破綻国家として、「いつ潰れても不思議ではない」と言われるようになって何と20年以上も潰れないできた。しかし、今度こそは10年以内崩壊のカウントダウンが始まったのではないだろうか。

北朝鮮の人口は韓国の半分だが、一人当たりのGDPは10分の1以下だろう。ドイツ統一の時、東ドイツの一人当たりのGDPは西の約40%、人口は3分の1以下だった。それでも東西統一後20年以上たった今も、厳しい格差が問題になっている。

朝鮮・韓国の人たちにとって統一が悲願であり続けていることには変わりはないだろう。しかし、韓国では「今すぐの統一」には躊躇う人が増えているという。もう少し北の経済状況が良くなってから、と思うのは当り前のことだ。レアメタルを含む北の豊富な資源や安い労働力によだれをたらしている中国、米国、ロシアも、今のような破綻国家状態で潰れてしまったらトンデモナイことになるのは十分に分かっている。

「惚けてやる」といって子どもを脅す親は見放すこともできるかもしれない。しかし、政権や国家が潰れれば必ず出てくる大量難民(シリアの人口は北朝鮮より少ない)、そしてかなりの確度で起こるであろう内戦は放っておくわけにはいかない。93年「北朝鮮危機」の際に米国が軍事攻撃を控えたのは、日本の後方支援体制ができていないことや、攻撃すれば北朝鮮の反撃でソウルが火の海になるからだった等と言われるが、それだけが原因ではないかもしれない。

だからこそ、独裁政権の下での経済発展を促す手だてとして、経済特区の後押し、中国に見られるような一党独裁の下での市場経済導入が、もっとも実際的な方途と思われてきたのだろう。そしてその窓口を一手に担ってきた張成沢 Chang Song-thaek が切られた今度の粛正は、警戒信号が点滅し始めたような事態だと思う。

既にこの9月にランド研究所は、北朝鮮崩壊に備え、作戦計画などを大至急に準備すべきとの報告を出したようだ。政権や国家が崩壊すれば、中国軍と韓国・アメリカの合同軍が北に入り、両軍が対峙して第二次朝鮮戦争になりかねない状況が生まれうる等と予想しているようだ。また北には少量とはいえ核爆弾がある。

平和ボケしたこの国の政権担当者は、核実験だのミサイル発射だのに興奮し、ワシントンのお墨付きのもとで「北朝鮮は危険」と喚いている。注目すべき点を誤っているとしか言えない。

そんなとき、週1回になってしまった授業のために大学へ行った。構内を歩いていると、コゲラがシジュウカラと一緒に飛び交っているのを見つけ幸せになった。コゲラは沿海州から朝鮮半島、樺太、日本列島など東アジアの限られた地域に生息しているという。その地域に暮らす人々の幸せを改めて思った(なんか明仁みたいだなぁ)