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2011年2月28日月曜日

シリアと中国


AlJazeera のサイトを見ていたら、アルバイダ郊外にあるカダフィの邸宅の地下で見つかった核攻撃の際の避難シェルターを写したビデオがあった。つい、ヒトラーがオーストリー国境のオーバーザルツベルクの山荘に作らせた地下壕が思い出された。独裁者が考えることは時代をこえてどこでも似てくるらしい。
http://english.aljazeera.net/video/africa/2011/02/20112276522858202.html

核攻撃避難シェルターと言えば、60年代後半以降、中国ではソ連からの核攻撃に備えて、北京等の大都市の至る所で地下壕が掘られたと聞いたことがある。中南海にも掘られたのだろう。

その中国共産党政権は、チュニジア、エジプト、リビアと北アフリカ/中東で続く「ウェブ2.0革命」(?)の中国国内への影響を警戒して、呼びかけられていた集会を20日に続いて押さえ込むだけでなく、主立った活動家を逮捕するなどの弾圧措置を1月以来、系統的にとっているらしい。

明治憲法の並みの抑圧というべきだろうか。5日から始まる全人代のための一時的な予防措置を越えて、この際、運動を根絶やしにしてしまうという狙いもあるのではないかと思う。

尖閣問題で中国の脅威を煽り、軍事的対決力を高めることばかりを主張する人たちは、もっとこうした中国共産党政権のひどい抑圧体制の実態に注目した方が良いのではないだろうか。


集会阻止で群衆排除=撮影妨害、邦人記者ら連行-中国

 【北京、上海、ウルムチ時事】中国当局は27日、民主化などを求める「中国ジャスミン革命集会」の呼び掛けがあった北京、新疆ウイグル自治区ウルムチなどで、集会を阻止するため大量の警察官を動員し、人混みができないよう排除措置を取った。
集会呼び掛けは20日に続いて2回目で、前回の13都市から二十数都市に拡大。北京では香港の記者ら数人が警察に連行され、撮影機材を没収されたほか、台湾のカメラマンが連行の際に負傷したとの情報もある。上海では日本のテレビ局の日本人カメラマンがカメラのモニターを壊されて一時連行されるなどしたが、各地で集会が開かれたとの情報はなく、大きなトラブルは伝えられていない。
 北京で集合場所に指定された繁華街の王府井では、ファストフード店前に工事用防護壁が設置された。立ち止まると私服の警官に追い払われ、写真を撮ると画像を消された。集合時刻の午後2時(日本時間同3時)すぎには、数台の道路清掃車が水をまきながら通りにいた人たちを排除。携帯電話でのインターネット接続もできなくなった。
上海市の人民広場では、集合場所に指定された映画館が休業となり、地下鉄からの出口も封鎖。監視カメラが設置された電柱によじ登ろうとした男性や、写真を撮影した若い男性ら少なくとも6人が警察に連行された。
中国では20日以降、集会情報を拡散させたとして、作家や民主活動家ら少なくとも4人が国家政権転覆などの容疑で身柄を拘束されたほか、警察に連行されたまま連絡がとれない人権派の弁護士らもいる。(2011/02/27-22:48)



http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1245?page=1


http://www.lemonde.fr/international/



http://www.guardian.co.uk/world/2011/feb/21/china-lawyer-beaten-protest?intcmp=239

Chinese lawyer beaten ahead of jasmine revolution protests
Liu Shihui alleges attack by five members of special police in Guangzhou as he set off to attend demonstration
http://www.nytimes.com/2011/02/21/world/asia/21china.html?_r=1&scp=1&sq=china,%20jasmin,%20lawyer&st=cse

In recent days, more than a dozen lawyers and rights activists have been rounded up, and more than 80 dissidents have reportedly been placed under varying forms of house arrest. At least two lawyers are still missing, family members and human rights advocates said Sunday.
http://www.lemonde.fr/international/

上海での「幻のデモ」une manifestation fantômeを警察が弾圧(2月27日)
http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/portfolio/2011/02/28/la-police-chinoise-reprime-une-manifestation-fantome-a-shanghai_1486085_3216.html
写真豊富。




2011年2月24日木曜日

ニュースから目が離せない

授業期間が終わり少しほっとしたのも束の間、チュニジア、エジプトの政変でニュースから目が離せなくなっている。


バーレーンでの運動がサウジにどう影響するかと注目していたら、ムバラクの退陣声明で点火されたかのようにシリアで反カダフィの運動が拡がった。BBCやAlJazeera(この英語は分かりやすい)のサイトを見ていると、直ぐに小1時間はたってしまう。これはならじと仕事に入っても、食事の前後に気にかかりまた見てしまう。



「リベラルな民主主義はやはり永続革命のプロジェクトなのだ」などと今更のことを思ったりする。

欧米メディアは、カダフィ派による虐殺よりも、内戦状態に陥ったリビアからの自国人の脱出や石油価格の高騰に焦点を合わせている感じがある。カイロでは、医療支援のため国境を越えて行こうとするボランティアの医師や支援物資がモスクに集められているらしい。頭が下がる。

2011年2月12日土曜日

ウェブ2.0革命?

暮れのウィキリーク事件には振り回された。
そして今度は、チュニジアにエジプトの政治的激震だ。

およそ新しく出現するメディアは、従来のメディアに比べ民衆に対して、より抑圧的に機能することが一般傾向だと思ってきた。新聞に対するラジオ、ラジオに対するテレビ。読むのを止めたり、読み返して考える余地の大きな新聞に対して、一方的に流される音声、感情に働きかける音声。そしてテレビとなると、人の5感のうち最も鋭敏で認知に対する影響が最も大きい視覚を支配する。新聞よりラジオ、ラジオよりテレビは受け手をより一層に受け身にする効果があるのではないか。そして新しく出現するメディアは、それを立ち上げ維持する費用も旧来のものに比べ格段に高額になる。つまり、民衆の手から遠ざかり、民衆操作・世論操作の手段となりやすくなる。

それがかならずしも当たらないことを示すのが1月末以来の事件だろうか。アルジャジーラaljazeeraのサイトで見ることのできるタヒリルTahrir広場の人々の表情は、実に生き生きとし充実しており晴れやかだ。広場には6つの検問所が設けられ武器の持ち込みがチェックされ、仮設トイレや医療テントが設けられ、落とし物やカンパをまとめるセンターもできている(僕はつい1989年春の天安門広場を思い出してしまう)。


Facebook や Twitter は、のべつまくなしにそれをチェックしなくてはいられないような依存症を拡げるだけではないようだ。そこには、働いてその社会を支えている無数の人々の力と知恵を結びつけ、社会を変える政治力へ変える道具にもなる可能性も秘められているのだろう。ブログにもそんな可能性があるのかどうか、このブログも見直さなければならないのかもしれない。

それにしても焦っているのはアメリカ政府だろう。ムバラクがのらりくらりとし、軍が実権を押さえたのも、このまま米国のコントロールが効かない新政権が作られることを妨げるためだろうと思う。エジプトに米国の言いなりにならない政権が生まれれば、イスラエルは大変なことになり、親米独裁政権に依存した米国の中東政策は根底から覆される可能性が高まる。広場での民主化要求集会が始まった翌日にはエジプト軍の高官がワシントンに飛んでいる。オバマが民主化運動を支持しながら、ムバラク即時退陣について揺れたのも、ポスト・ムバラクについての方針を固めるまでの時間稼ぎだったのだろう。まずは自分たちが膨大な資金を投入し、最新鋭の兵器や技術を提供し、軍事訓練してきた育て上げてきた軍に時間稼ぎをさせる。このシナリオは、チュニジア、エジプトの民主化運動が、CIA などの予測をこえて突然に出現したためその中に政治基盤や手先を作ることができていない米国がとりうる唯一の選択肢だったのかもしれない。

http://english.aljazeera.net/

http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/news_j.html

http://markethack.net/archives/51687055.html