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2009年12月22日火曜日

非核三原則でノーベル平和賞

なぜこの時点で密約が「暴露」されたのか。

要するに、「持たず、作らず、持ち込まず」のうち、最後の「持ち込まず」を取り外してしまうということだろう。米軍はその艦船や飛行機に核兵器を搭載しているかいないかを明らかにしない方針を貫いているから、安保条約第6条交換公文に基づいて仮に事前協議が行われたとしても、そこで核持ち込みを拒むことができる保障はない。核兵器を搭載していないことを証明し、誓約する書類提出を義務づけるくらいの根性が日本政府にあってもよいのだが、我が国政府はこれまでに一度として事前協議の申込すらしたことがない。

少なくとも「有事」には持ち込めるようにしている。こうした判断は、以前から少し冷静に観察している人たち誰もがもっていた。それが密約「暴露」で証明された訳だ。だから「暴露」や告白のタイミングが問題になる。つまりは、非核3原則を2原則にしてしまう、あるいは有事持ち込みOKの2.5原則にしてしまうのが狙いなのだろう。折しもオバマ政権が核の先制使用について見直す姿勢を明らかにした。これに対する日米安保心中派からの牽制という感じがする。

それにしても、密約を大事に自宅に隠しておいて、しゃーしゃーと非核三原則でノーベル平和賞をもらいに行ったとは。やはり「政治家」という連中は、平気で嘘がつけなければ務まらないものらしい。

2009年12月20日日曜日

弁護士報酬の怪



3年にわたって遺産分割をめぐる調停に付合わされた。この自分で自分の利益を守ろうとしないわが母親殿のために弁護士を代理人に依頼した。放っておくと話合いもせずに調停を申立てた親愛なる弟殿や妹殿の言いなりになりかねないからのことだった。

6月末に事実上の決着がついていたのが、相手側による事後処理の遅れのために、ようやくこの時期になって報酬金の連絡があった。

「母が遺産の約半分取ることになったので」と、おや!?と思う額が示された。
最初の代理人契約のときに、基本は数年前まであった弁護士報酬規定に基づいてとのことであったから、得た「経済的利益」が3千万を越えた7500万円余になった母については6%で、旧報酬規定だと調停・審判の場合はその2/3だから、300万円と少々。これに契約にある所定の138万円を加えてたうえで、(まけて?)432万円だという。

分からないことの一つは、旧規定第15条では、「前条で算定された経済的利益の額が、紛争の実態に比して明らかに大きいときは、弁護士は、経済的利益の額を、紛争の実態に相応するまで、減額しなければならない」と、減額努力の義務規定があることに関わる。今回の調停・審判は3年に及んだが、しかし、ここまで時間がかかった原因の半分くらいは当事者の時間の都合が合わなかったことであり、母の今後の生活の安定を優先的に配慮する点では当事者は一致していたし、争いの実態は左程に「重大若しくは複雑な」ものだったとは思われない。数年前、僕が労組委員長だったときに36協定を止めたとき交渉の方が余程に困難だった。確かに何をもって「紛争の実態に相応する」とするかを決めるのは難しいところだろう。しかし、月割りすると月10万円以上になる額というのは、「紛争の実態に比して明らかに大きい」と思われてならない。プロならば自分でやっても1時間もかからずに書ける書類、その他相手方との連絡、依頼人本人との連絡など。どう考えても平均して月5時間もあれば悠々と片付く仕事だ。

大体、旧規定でも日弁連の新しい報酬規程でも、「経済的利益、事案の難易、時間及び労力その他の事情に照らして適正かつ妥当なもの」でなくてはならないとあって、基準が曖昧であることだ。5年前の旧規定廃止後も多くの弁護士事務所では旧規定を使っている。その報酬算定基準は、主として「経済的利益」である。まずはここで報酬額の基本が決まり、次に「紛争の実態に比して明らかに大きい」かどうかが問題になるに過ぎない。新規程でも「事案の難易、時間及び労力その他の事情」を決める主体は、当の弁護士であって、第三者がある客観的尺度でその計算の適正性や妥当性をチェックするわけではない。素人である依頼人の側は、「ああ、実に難しい事件でした。ご満足がいかない点もあったかもしれません。しかし、これほどやっかいだとは思いませんでした」等と、弁護士センセイから言われると、何も反論できないだろう。

次に分からないのは、旧規定第14条13号では「分割の対象となる財産の範囲及び相続分についての争いのない部分については、その相続分の時価相当額の3分の1の額」とあることにかかわる。母の代理人を引き受けて下さった弁護士さんは、あっさりと「鑑定が入ったから」と言う。母を除く当事者間で遺産である不動産の価額をめぐって時価か路線価か課税評価額かなどの争いがあった。そこであっさりと担当の調停官(裁判官がやっている)は、「じゃあ鑑定にしてもらいましょうか」と言った。しかし、この前提にあった不動産価額をめぐる「争い」は、極めて単純なものだった。

もし、<分割対象の価格を争えば弁護士報酬が3倍になってしまう>ことを知っていれば、当然に依頼者側では、それが問題になった時点で「争うか否か」を必ず考慮する。すべての依頼者が旧規定を注意深く読んでいたり、理解しているわけではない。僕も見落としていた。気がついていれば僕は争わなかった。

そうした時点にさしかかった際に、普通だったら専門家である弁護士は、「意見の違いは実質的に大きなものではありません。ここで争えば最後に私がいただく報酬金は3倍になり私は得をしますが、それでもよろしいのですか」くらいの注意を依頼者に促さないのはおかしいのではないかということである。今日の消費者法では、ことある度に事業者は消費者に対して商品の説明をすることた求められており、これを怠ると事業者の責任が問われたり、消費者に不利な結果と招いた場合は契約のはじめに遡って取り消されることが少なくない。このありようと比べると、鑑定を入れるかどうかが問題になった時点で、母に説明がなかったことは随分におかしい。

第三に分からないのは、日弁連のウェブ・サイトに載っている2008年度アンケート結果にもとづく「市民のための弁護士報酬の目安」との開きが余りに大きいことだ。その23頁(遺産分割調停)には、「5千万円相当の遺産を取得し、納得する分割となった」場合について、報酬金は、100万円前後の30.7%をピークに、全体の80%が220万円前後までに留まっている。この1.5倍だとしても300万円代にしかならない。

http://www.nichibenren.or.jp/ja/attorneys_fee/data/meyasu.pdf

そう言えば以前に、儲けにもならない公害訴訟や9条裁判に係わってる弁護士さんに、「よく手弁当でやっていけますね」と水をむけたところ、「いや、相続や離婚でたっぷりもうけさせてもらっていますから」との返事があり、きょとんとしたことがあった。相続や離婚を楮鄭や裁判で争うような人は、まずはお金持ちだから、そこからしっかり報酬金をもらえば良いとでもいうのだろうか。納得できない。

2009年12月10日木曜日

元号とグレゴリオ暦



喪中の知らせが届く時期になった。
この数年、増える一方なのに初めはぎくりと驚いた。しかし、これも歳をとったためだから当然なことなのだろう。

今年は新たに驚くことが増えた。元号使用の挨拶が増えたことだ。それも僕より年下の、しかも憲法研究者の人からの挨拶状に平静に元号が使われているのを見ると、何とも言えない気分になる。

グレゴリオ暦が絶対に良いとは言えないかもしれない。しかし、より普遍的なものにつく。それが研究者のたしなみではないのか。年号表記などは、単なる「調整問題」に過ぎないとでも言うのだろうか。

2009年12月7日月曜日

神社仏閣の効用



久しぶりで休みを取り樹々の下、土の上を歩いてきた。
さすがに紅葉は終わってしまっていたが、自然の中に身をおくとド頭の髄までがほぐれてくる感じがする。

田舎道を歩いていたら、路傍に稚拙な「観光地図」があり、そこに**寺と書いてある。当節は、どこへ行ってもこの種の観光地図があるので、期待はしなかった。それでも建物や使われている用材が気になり初めている僕はその寺を訪れてみることにした。

山門があり、下手くそだけれど四天王か然るべき御弟子だかの、大きな石像が杉並木の参道に並び、その先に石段がある。登ってみると立派な御堂と何と三重塔がある。樹齢何百年という杉の大樹も気持ちよく空に伸びている。



古い建物に興味があるので、機会を作ってはその場に行って、建物の周りを巡ったり内部の空間体験を楽しんできた。中北部トスカーナ、ストラスブール周辺、そしてブルゴーニュの有名所は、文字通りしらみつぶしに見て歩いたことがある。しかし、どこでも建物とそれを取り囲む樹々との関係について深い印象をもつことはなかった(例外は、ミラーノの南のチェルトーザの修道院くらいか)。気候条件が違いすぎるのだろうか。

この国の神社仏閣が樹々に恵まれた空間の中にあることが少なくないのは、単に豊かな日照と水のせいなのだろうか。今頃になってこんなことを考え始めた。

2009年12月4日金曜日

抑鬱症状



先月のうちからクリスマス商戦というのが始まっている。「聖夜のお食事は、一流シェフが腕をふるう**ホテルのスカイラウンジで夜景を楽しみながら」なんて宣伝が入ってくる。街の至るところにイルミネーションがつき始めた。耶蘇教徒が多い訳でもないこの国で、どうしてこういう光景が広がる一方なのか。歳をとったせいだろうか、どうもむかつく。

勤め先でも、**大イルミネーション・プロジェクト実行委員会とかいうところが、『ふれあい つながり そして、夢』とかのふれこみで、余計な豆電球の照明を学内のみっともない「シンボル・スポット」にかけたりし始めた。その一方で「**大学は省エネに努めます」と言っているのだから呆れる。

そういえば10月には勤め先の公式HPに、「ハロウィンパーティーを実施します」とあって、仰天した。若い同僚に聞くと「留学生が増えたからでしょう」と言う。留学生はあの戦争ばかりやっている野蛮国からだけ来ている訳ではない。

職場や街中のこうしたアホなことに一々むかついていると、次第に憂鬱になってくる。貧困者の絶対的な拡大。他方では、コペンハーゲンで新しいより強い規制にむけての新たな合意が得られる見通しが少なくなっていること。その中でのイルミネーションである。

厚労省の調査によると、うつ病の患者数が、100万人を突破し、この10年間で2.4倍に増えたとのこと。

2009年12月2日水曜日

外交密約



外交密約がボロボロと出てくる。

今度は東京地裁で、72年沖縄返還時に外務省アメリカ局長だった吉野文夫氏が、原状回復費(400万ドル)肩代わりの密約があり、その額は積算根拠もない「掴み金だった」ことを証言した。37年前にこのことを暴露した外務省機密漏洩事件では、吉野氏は検察側証人として「密約はなかったと」法廷で証言した。彼は偽証罪に問われることなく、密約を暴露した毎日新聞記者の西山氏が、国家公務員法違反で有罪になった。

カリエールは『外交談判法』だかの中で、「敵に偽りを言って利益を得ようとする者は、敵から交渉相手としても信頼されないから、まともな交渉すらできない」といった趣旨のことを言っていた。さて、この国の外交官は、自国民に対しても嘘偽りを言うことが習い性となっているのだろうか。37年後とは言え、嘘をついたことを告白したから老人に対して目くじらをたてるべきではないという意見もあろう。しかし、この秘密は密約相手の米国では既に公開されていたことだった。

いかにも遅い。91歳という年齢がそうさせたとしたら、自己満足でしかないと言われても仕方ない。吉野氏はグァム移転についておかしいと発言しているのだろうか。