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2009年11月30日月曜日

フリースとビニール



急に寒くなった。ようやく冬物を引っ張り出した。何年も前にユニクロで安さに感動して買ったフリースが出てきた。どこか疲れた感じがし、羽織ってみると以前程の保温力がなくなっているようだ。そしてふと、ユニチカに勤めていた人が「ポリエステルにしても、フリースにしても材料はビニールと同じだからな」と言ったことが思い出された。そういえばそうだ。

そしてまた、何枚ものビニール袋を身体に巻き付けているようにしていた公園のホームレスの人を思い出した。ろくにシェルターもない冬が始まる。

ところで、オバマのノーベル平和賞について、選考委員長ヤーグラン(元外相、元首相)との06年のケニア政策での繋がりを教えてくれた記事を読んだ。どうも、イラン攻撃の牽制のための授賞とは言えないらしい:

http://moneyzine.jp/article/detail/181639/

2009年11月26日木曜日

PAC3ミサイル



ミサイル迎撃用地対空誘導弾(PAC3)を、来年度から5カ年計画で全国3カ所北海道、青森、沖縄に追加配備しようという防衛省方針(配備経費944億円)に対して、岡田外相と藤井財務相が予算案からの削除に前向きの発言をしたようだ。結構なことだと思う。

既にPAC3は、北朝鮮のノドンを撃ち落とすために配備されるというふれこみで、既に第1高射群(入間)などに配備されている。この間も北朝鮮のミサイル実験に際して、途中で落っこちてくるかも知れないと大騒ぎして移動配備したりした。

しかし、PAC3は射程300〜500kmから打ち込まれるミサイルを、最終突入段階を撃ち落とすものとして作られている。射程は約15~20km。先行モデルが、湾岸戦争の時にイラクのスカッドを撃ち落としたという「実績」から改良型として開発されたが、米軍自身の発表でも撃墜実験成功率は10%を切ると言う。この実験成功というのも、発射時間が予め分かっているミサイルについてのものだとのこと。射程1300kmのミサイルに対する迎撃実験は、捕捉が困難なためだろうか、そもそもやってもいない。まぁ、飛んでくる鉄砲玉をピストルで撃ち落とそうというようなものだ。

ノドンの速度はおよそマッハ15で、射程は1300km。発射されて目標到達まで7〜10分しかない。撃ったと言われて射程15〜20kmのPAC3を慌てて移動させても間に合う訳はない。また、射程300〜500kmといえば、東京を狙う場合には、殆ど日本の領海内から打ち込むしかない。

岡田外相は「PAC3は防衛予算のかなりの部分を占める。有効性について国民に理解される説明が求められる。22年度中に十分に検討すればいいのではないか」と、防衛相に反論したらしい。社民党の福島消費者相も、「的中率や有効性、費用」を問題視しているが、国民新党の亀井金融相は、拡大配備を支持している。

軍備というものは、大体が「もし万一」という想定で配備されることが少なくない。「もし万一」と言い出したら、この世の中には切りがない程の不安がある。不安に思う心理を社会病理として対処する方向もあるだろうが、それを措くとすると、不安を解消するためにはまずは、「もし万一」の可能性をきちんと見極めることが必要になる。そうしないと軍備はいくらもっても足りないことになってしまう(かつての僕の蔵書方針がそうでした、、、反省)。「異星人が攻めて来たら」なんてことは可能性から排除する。

我が国の港に帰港する米国の潜水艦などの艦船にはトマホークなど、核弾頭搭載可能なものだらけで、北朝鮮からすれば何十年も前から脅威にさらされ続けていることになる。半世紀以上の独裁政権のもと、数年ごとに数千人、数万人という規模で餓死者を出し、国民経済も青息吐息の国である。石油もないから空軍飛行士の年間訓練時間は30時間を切り、スクランブル発進などままならないという。「北朝鮮が攻めて来たら」、これも僕はありえない想定だと思っている。しかし、10年この方、この国では北朝鮮の評判は甚だ宜しくなく、「攻めて来るかもしれない」と不安に思う人は多い。

そこで、次に「攻めて来るかもしれない」と仮定して対処する段階を考えてみる。そうすると、日本海沿岸に並んだ原発などについては目をつぶるとしても、不幸にして「もし万一」が現実化した場合には、せめて「確実に役立つ」ことをきちんと見極めておかないと、これまた際限のない軍拡になってしまう。岡田外相の姿勢は、やっとこの国の政治家も実質に即した判断を語らざるを得なくなったという証しだろうか。